2019年 

『不在の部屋』・・・吉原英里作品集 1983‐2016

 

 

 

著者:吉原英里

装丁:西岡勉

発行:ギャラリーモーニング

印刷:株式会社サンエムカラー

サイズ:A5

総頁:128頁

 

デザイナーの西岡勉さんの紹介で、吉原英里先生の作品集の制作をさせていただいた。

1980年代から現在に至るまでのエッチング、インスタレーション、ドローイング作品120点で構成される集大成の作品集である。

3回に分けてギャラリーモーニング(京都市岡崎)で行われてきた回顧展の最終回にあわせて出版された。

吉原先生は「ラミネート技法」と呼ばれる技法を開発され、それで版画作品を作ってこられたが、それは、実際のティーバックの紙やリボン、新聞紙、それに民芸紙(着色された和紙)などを、薄い雁皮紙と版画用紙との間に挟んでプレスしたものをベースにしてプリントするというもので、虚構と現実がない交ぜになって軽やかな作品世界を作っておられる。

そこでは、挟まれた元の鮮やかな色が、雁皮の薄い膜を通すことによって、微妙な調子になっている。

 

印刷では、その再現に苦労した。

風合いのある紙に再現しようとすると、どうしても濁ってくすんでしまったり、色合いが強くなりすぎたりしてしまう。鮮やかで淡い調子がなかなか表現できない。

結果的にほぼ全点作品を拝見し、それを製版/印刷のオペレーターに伝えて、できる限り原画の微妙な調子を再現しようと努力した。