私的に中国旅行を企画したところ、かねてからの知り合いであった平湖市在住の楊廣泰さんからの依頼で、急遽現地で、美術印刷の講演会を開くことになった。
美術品収集家・篆刻研究者・篆刻家・美術出版関係者・美術印刷関係者・書店主など二十数名が集まってくださった前で、書・篆刻の複製、印刷で考えうる最高の方法は何か、私がこれまで携わってきた仕事との関わりで話をさせて頂いた。
中国は書と篆刻についても永い歴史のある国である。上海博物館でも「書」や「印」のコーナーでは沢山の人(それも若者が多い)が見入っている。
それらの価値ある美術品を、いかに良質な美術書として制作し残すかに強い意欲を持っておられる方が沢山いる。そのような方達を前に、現在日本で美術印刷が技術的にどのように行われているか、そして美術印刷とは何を表現するべきものなのか、私なりに考えを述べさせていただいた。