京ねこは生まれも育ちも「遠江」。
同じ静岡県でも「駿河」「伊豆」はちょっと他所の国っぽい。
長じて「京の都」に住み始めたから、なおさら東には縁遠くなってしまった。
この度、中学の還暦同窓会(!)に出席したついでに、故郷の「気になってたところ」に寄ってみた。
彼の染織作品は大好きで、機会あるごとに見ているのだけれど、つい立ち寄らずに過ぎてきた。
この美術館は、日本史の教科書に必ず出てくる「登呂遺跡」公園のなかにある。
「竪穴住居」や「高床倉庫」、水田跡の広がる公園の中に建つ巨大な石積みの壁・銅板葺きの屋根・・・事前知識のなかった私は、ただもうびっくり!
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「石水館」と名づけけられた建物自体が芸術品です。
館内は(写真は撮れませんが)、芹沢銈介の作品・コレクションを掲げるのに、これ以上の空間はありえないだろうと思うほど・・・アーチ形の窓・ドア、部屋ごとに意匠を凝らした天井の木材のライン・・・すべてに堪能いたしました!
「伊豆で温泉?」なーんて昔はばかにしていたけれど、私もそんなことをやってみたい年頃になった。
熱海から伊東に向かい伊豆急線に乗ろうとしたら、ホームにはこの電車が・・・思わず「普通乗車券で乗ってもいいですか?」とお伺いを立ててしまった「黒船電車」。
時刻表も見ずに、日に数本しか走っていない「黒船」に乗れた私はラッキー!
パノラマシートに座り、車内に飾られた幕末の偉人の絵を見ながら暮れゆく海や島を眺めているうちに突如浮かんだ情景。NHK大河ドラマで伊勢谷友介演じる吉田松陰が、密かに下田に黒船を見に行くシーン。
よし!明日は下田で幕末を味わうことに決定!
伊東にて夕飯に金目鯛の煮つけを堪能、温泉宿では朝から露天温泉を独り占めして、「さあ、下田へ!」と意気揚々と風情のある川べりを駅に向かって歩く。
と、向こう岸に素通り出来かねる建物を見つけてしまった。
開国が、黒船が、遅れる・・・と相当悩んだ末に、やっぱり入ってしまった。
昭和3年建築の温泉旅館「東海館」
床の間・欄間・障子・飾り窓・手すり・電球の笠、どれをとっても、日本の職人が「俺の腕を見てくれ!」とばかりに気合を込めて造ったという心意気が伝わってくる。
木造3階建て、てっぺんの望楼まで登り、眺める山と海は絶景。
3階の120畳あったという大広間に座ると、舞台で舞う芸子さんや浴衣姿で飲んだくれる客の姿が目に浮かぶよう。
あったんだなあ、そんな時代が・・・
京ねこ、この建物を引き取り、文化財として残した伊東市に感謝です。
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