金剛山と葛城山の麓を南北に十数キロ、『葛城古道』と呼ばれる古代神話の道は、ヒトが生活を営むとはこういう風景だったと、思い起こさせてくれた、それは美しい道でした。
稲刈り前の田圃は黄金色、刈った後の田圃は、そこかしこから野焼の煙が立ち上って・・・う~ん、懐かしい匂い!
辺りは、立派な美しい民家と、その屋敷内には、たわわに実る柿がいたる所に見られます。
案山子(?)と呼ぶには、余りにも凝ってる!
私と今日の同行者M子さんは、近鉄御所駅からバスで南下し、「船宿寺」から歩きはじめました。
この経路、なんと午前中は熊野本宮大社経由で新宮駅まで行く便が1本のみ!!
「特急バス」というのにも初めて乗りました。
ボーっと車窓から山並みを眺めながら6時間、新宮までのバス旅という贅沢な旅もしてみたいものです。
始めに立ち寄った船宿寺から見渡す、向かいの金剛山の山並みが見事です。
高鴨神社「高鴨神社案内パンフレット」より
「高鴨神社」は式内社、本殿は重文です。
ここは古代の鴨族発祥の地、鴨一族の氏神様だったという神社です。
鳥居までの杉木立と本殿前の巨大な池が印象的です。
この地域、稲作発祥の地といわれるだけあって、ため池だらけ、しかもそれが私有地(もあり)だと聞くと、もう私にはビックリです。私の田舎では村落共同体で1個の池の水を大事に・大事にという感じでしたから。
次に向かった「高天彦神社」
注連縄を潜り、足取り軽く登って行くM子さん。
でも、この先に神社があるのではなく・・・
軽く峠を越えた後、さらに杉並木の坂道を登ってやっと本殿に到着。
ここも式内社。
天孫降臨神話の世界に近づいてきた感じが・・・
いや、「この狛犬の尻尾、すごいねえ~フッサフサ~」とはしゃぐ二人。
この高天の集落の家々、立派な長屋門の家々が坂道に沿って建ち、見下ろせば御所の市内から三輪方面まで見渡せる・・・いまどきこんな風景が残っていたのかと驚嘆に値する素晴らしい景観です。
集落の田圃から見上げた「白雲岳」(高天神社の神体山)
「橋本院」境内の畦道から見上げる「白雲岳」
こういう場所に身を置くと、景色に見とれたり畦道に座ってお茶をしたりしているうちに、時間は知らぬ間に過ぎていきます。
たいへん!先を急がねば!
ここからはまたこんな山道も通り、「一言主神社」に向かいます。
「一言主神社」の大銀杏
M子さん、恩師の木版画で出会ってから十数年、実物を見る機会を待っていた、と感激。
幹の途中からニョキニョキと出ている根(?)
空中に張り出した枝、すごい風格を漂わせています。
この無患子(ムクロジ)も美しい。
太い幹が途中でスパッと切られたところから、無数の枝をだし、こんなに美しい樹形を作っています。
おっと、幸せな空間に浸っているうちに、東の三輪の山々の向こうに、お月様が出てきました。
急いで帰路につかねば!
1時間歩いて御所駅に着いたのは6時、なんと8時間近く古道の散策を楽しんでしまいました。
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