「油日神社」
白洲正子が著書『かくれ里』の冒頭で所蔵の「福太夫の面」と「ずずいこ様」を紹介している神社・・・彼女の文章は、そこに紹介されたかくれ里の情景を、私の脳裏にロマンチックなまでに想像させる。
ここと近隣にある「櫟野寺」は、そういった意味でわたしのあこがれの場所・・・さして遠いという訳ではないのに、訪れる機会のなかった場所。
(油日神社発行「油日詣で」より)
鳥居から数十メートル続く石垣(とても立派な古いものと見えます)の先に現れた楼門には驚きました。
檜皮葺・入母屋つくりの楼門の両袖から4間、コの字型に折れた先に5間の回廊になっています。
巨大且つ重厚・・・幅は1間ほどでしょうか。祭祀の日、ここに多くの人々が居並び、神聖な空気の漂う情景が目に浮かぶようです。
拝殿
本殿
(脇にそびえる「高野槇」は樹齢750年とか)
内側から見た回廊
神社の横にもう一つ鳥居があり、その横には鐘楼が建っています。
こちらのお堂の屋根の上、どうみても宝珠です。
境内のそこかしこに、神と仏が共に人々と生きていた時代を思わせるものが残っています。
油日神社の宝物は、神社横に「甲賀歴史民俗資料館」があり、そこに収納されています。
「福太夫の面」も「ずずいこ様」も、もちろん間近で見られます。
この資料館は、御神木の売却代金をもとに神社敷地内に設立され、運営管理も神社が行っているとのこと。(「神社博物館辞典WEB版」より)
地域の歴史あるものを守ろうという神社と地域の心意気に心打たれます。
***資料館見学は事前に予約する方が確実と思われます。***
『・・・田圃をへだてて油日岳が、堂々とした姿をみせている。神山というのは、・・・何か共通の美しさと神秘性を備えており、遠くからでもすぐそれとわかる。』(白洲正子「かくれ里」より。)
神社の前の田圃の脇、神体山である「油日岳(694M)」に向かい、遥拝所が設けられています。
本当に、すぐそれとわかる、あれこそが神の山と思える魅力的な山容をしています。
「岳こもり」の日は「頂上でご神火を焚きあげ参籠する」(パンフレット「油日詣で」より)とのこと。
ああ、次はここに登りにこよう、そして奥宮からこの緑豊かな油日の地を望んでみたいと心から思いました。
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