今年米寿を迎える母を連れ、故郷静岡県にある大井川上流の寸又峡(すまたきょう)温泉に行ってきました。
「50年前に一度来たことがある」と母。テンション高い↑↑
「こんな道だったかなあ?前来たときはバスが川に落ちそうで怖くて怖くて・・・」
「前って、半世紀だよ。道は砂利道でガードレールもなかったにきまってるじゃん」
到着した雨上がりの山に囲まれた小さな小さな温泉街は、素晴らしい景観です。
ぬめりのある硫黄泉の温泉はなかなかのものです。
こんな山の中で体調を崩されたらたまらんと、一晩ゆっくり身体を休めた翌朝、さあ「夢の吊り橋」へ出発です。
腰の悪い母、「橋まで歩けるかなあ、動けなくなったらどうしよう・・・」という私の心配をよそに、当人はやる気満々。
愛車のシルバーカーを手にすると早い早い!
私が景色に見とれていたり、写真を撮ったりしているうちに、姿が見えないほど先に行ってしまいます。
ここは「天子トンネル」
「寸又峡プロムナードコース」は車両通行止めになっているので、子供も年寄りも安心です。
見えてきたダム湖は深いエメラルドグリーン。
息をのむ美しさです。
母はしきりに覗き込んで湖の景観を褒め、橋のたもとまで行きたそうでしたが、橋を渡るには道から100メートル以上下まで坂道や階段をおりなければいけません。
あきらめて、その先の飛龍橋を渡り、向かいに見える尾崎坂展望台まで行くことにしました。
日々の農作業で自然など珍しくもないだろうに・・・と思ったのは大間違い。
道々、落石止めの網に食い込む藤の蔓の生命力に驚嘆の声を挙げ、露を載せた草、風に揺れる草にも、きれい、きれいと喜びます。
そんな母を見ていると私の気持ちもウキウキ!。
歳を重ねるのも悪くない。私もいくつになっても日々に喜びを見出して過ごしたい!過ごそう!と思えてきて・・・。
今回の旅行の一番の収穫だったかもしれません。
無事、飛龍橋を渡り展望台到着たふたりはおおいに満足。
来た道を引き返し往復3時間の散歩になりました。
「まだ歩ける!」と母。
「そうだねえ、歩けるね。いっぱい歩いたね」と私。
翌朝、ひとりで橋を渡りに行き写真を撮ってきました
目下に見える吊り橋はダムの少し下流に架かる、長さ96メートル高さ11メートルの「猿並橋(さんなみばし)」
「このあたり一帯に住むサルの群れが対岸の朝日岳から寸又峡温泉の行き来に並んで渡る」(掲示板より)からこの名が命名されたとか・・・本当かなあ~でもキャッキャ!素敵です。そんな光景が目に浮かびます。
この辺り、山が迫っていて土地が狭いため、田畑は無いと聞きました。他でよく聞く鳥獣被害とは無縁のようで、猿や鹿の悪行(?)を聞かずに済み、私としては嬉しいかぎりです。
これが長さ90メートル、高さ8メートルの「夢の吊り橋」
早朝の人気のない時間帯にひとり渡るのは快感!まるでこの景観を独り占めした気分になります。
吊り橋から見下ろす湖面の美しさも必見です。
山並みを映し出した湖面に朝日にあたりゆらゆらときらめきます。
寸又峡には派手な観光スポットはこれといってないけれど、景色を楽しみながら散歩し、疲れたら温泉につかる・・そんな癒しの時間を過ごすにはぴったりの場所です。
犬が散歩しているだけの早朝の道
良~い感じの石垣の道
外森山の「天狗の落ちない大石」
今は公民館になっている、懐かしい香りのする木造2階建ての校舎跡。外壁の色はきれいな水色、校庭には演芸でも催すような舞台があります。
土にまみれた田舎の生活は嫌い!と都会に出てしまった私は、土に回帰し出した近年でも、故郷の自然にはなじみが薄くて・・・ちょっと、後ろめたかったのかもしれません。
つぎは寸又峡から沢口山に登って、富士見平から(なぜか好きではなかった)富士山を眺めてみるぞ~!
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