重森三玲の故郷を訪ねてⅡ

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一年ぶり(前回はコチラから)の備前中央町「吉川八幡宮」

今回同行し、初めて本殿の急勾配の屋根を見上げたM夫妻が「オーッ!!」という賞賛の声を上げたのを聞いて、「どうだ、すごいだろう!」と自慢したくなった・・くらいここが好き。


今回の目的は、前回見られなかった非公開の重森三玲作庭の庭、【曲嶌庭(きょくとうてい)】と【旭楽庭(ぎょくらくてい)】を見せていただくこと。

前回、重森三玲記念館や吉川八幡宮の案内をしてくださったSさんの御尽力で実現しました。

 

【曲嶌庭(きょくとうてい)】

55歳の作庭。

のどかな田園地帯の個人のお宅に、まるでどこかの寺院の庭が出現したかのようです。一本の木も植えずに・・・凛とした空気に包まれます。

視線を上げると、小高い里山の木々と空が、「田舎」の豊かさを感じさせます。

 

お施主さんと重森氏は同郷の友人。

作庭家として名を成した幼なじみの友人と共に自宅の庭を造った先代御当主は、さぞ嬉しかったことでしょうねえ。

庭に面した座敷は、この先代の隠居所として使われていたそうです。

六十数年、この庭を作庭時のままに守って来られた事に驚嘆を感じます。

 

【旭楽庭(ぎょくらくてい)】

33歳の作庭。

こちらもやはり、お施主さんと重森氏は幼なじみ。

京都に出て本格的に作庭を始める前の作庭です。

 

眼下に見える棚田は、むかしはもっと山の上まで延びていたそうです。

高台にあるこの庭に、ふたりで石を捜し運び上げ、この自然を眺めながらどんな話をしていたのか・・・

 

 

この地域にはもう一軒、個人のお宅に造られた重森三玲作庭の庭があったそうですが、いまはもう現存していないとのことでした。

この二件のお庭を貴重なものとして残してほしいと思うのは、維持することの大変さを考えると、外に暮らす人間の身勝手かもしれません。

でも、でもねえ~・・・

 

この後、Sさんたちとお茶をいただきながら、この土地をどう維持するか・・という話になりました。

吉備高原の自然は、農作物も豊かで気候も穏やか、誇れる歴史も岡山市から40分という地の利もある。でもこれといった人を集める目玉となるものがない、とおっしゃいます。

外から見てどう思うかと問われ、思いつくままに答えたものの、私自身田舎を捨ててきた身勝手な人間、ウツウツとした思いから逃れられません。

 

 


最後に紹介したいのがこの辺りの旧いお宅。

積まれた石垣・2階の2重屋根・数ミリの厚さに焼かれた杉板、すごい、すごいです!