【画像はクリックすれば拡大します】
まずは『天国』
「雲の峰を焼落した、三国ヶ岳は火のようだ。西は近江、北は加賀、幽に美濃の山々峰々、数万の松明を列ねたように旱の焔で取巻いた。夜叉ヶ池へも映るらしい…」(泉鏡花「夜叉ケ池」より)
前回のブログももこの一文から始めた夜叉ケ池…標高1099m。
紅葉真っ只中に違いない!
今回は岐阜側から夜叉ケ池に登ろう!
目指すはあの夜叉ケ壁の向こう側。
予想通りの紅葉の天国。
夜叉ケ壁まで紅葉色に染まっています。
「幽玄の滝」
「昇竜の滝」と「夜叉ケ壁」
滝の向こうの岩場を登れば池にたどり着くはず。
山は時々雲に覆われたり日が差したり…
滝の横の岩場をロープを頼りに登っていく人の姿が見えてきました。
私たちも、いざっ!!
着いたところは紅葉に囲まれた「夜叉ケ池」
これぞ天国!
隣の夜叉ケ岳に登って見下ろすと、三周ケ岳から福井・岐阜の山々が連なり絶景!
ああ~、最高にいい一日だったねえ~☆☆☆
私たち(同行はW子さん夫妻)の脳裏は紅葉色…最高にテンションが上がった状態で下山。
ここが地獄の入り口だとも知らずに★★★
次に『地獄』
始まりは『パンク』⇒ ⇒ ⇒
川沿いの林道は舗装されていたけれど落石も多く、ところどころ陥没箇所も…
水たまりになっていて気付かなかった箇所でやってしまいました。
「う~ん、こんな所で…」
「しゃあない、スペアに交換かア~」
(トランクをガタッ)
「ない!スペアタイヤがない!」
(後で判った事ですが、きょうびの車は居住性優先、法的には応急処置キッドが入っていれば良いそうです)
「タイヤが裂けてちゃあ、応急処置は無理…だよね…どうしよう…」
「しゃあない、こんな時のJAF♪♪~」スマホ、ス・マ・ホ~・・・・
「ん?・・・・電波、電波がア~!!アンテナが立ってない!!」(急に焦る!)時は16:00頃
動転の余り、【仏】の写真は撮り忘れたのでパンフレットから ↓
国道から13キロ登る林道。
「まだ半分も来てないし、歩いてたら真っ暗になっちゃうよ。まだ下山した人の車が来るから、電波が届く所まで乗せてもらおう」
W子夫妻に車を託し、やがて来た3人連れの男性の車に私ひとりが同乗させてもらう。
焦る私にJAFの番号を教え、任意保険のロードサービスが使えることも教えてくださった方々・・・ありがとうございました。
思い出しもしなかった、保険なんて・・・
この辺から『地獄に仏』篇
お礼を言って降ろしてもらったのが【道の駅 夜叉ケ池の里さかうち】
☎「山道で車がパンクして、スペアタイヤも積んでなくて・・・」
「はい、契約者番号をどうぞ!」---「わかりません。名前は○○、車のナンバーは末尾○○・・・」
保留
「確認がとれました。○○様、今おられる場所と車のある場所の住所を正確にどうぞ」
「ここはどこ?あそこは?・・・(お店の方に聞いてやっと答える)
保留
「はい場所の確認がとれました。レッカー車の手配がつき次第連絡します。御乗車の方はタクシーの手配ができるか確認します。
車両移動は15万円まで乗車人数1名さまにつき2万円まで保険で支払われます。尚、車両の移動に際しては現場でのお客様の立ち会いが必要です。車はどこまでお運びしましょうか?」
「どこって???とりあえず、考えとくからすぐ手配して!」
ガチャッ
最寄の町からレッカー車が来るまで1時間~2時間・・・それから立ち会ってタクシー?
だいたい15万円って、どこまで運べる金額なんだ?
そもそも、こんな山の中にしかも夜だし、タクシーなんて来てくれるのか?
いつになったら現場に行けるんだ?
それまでどうなってるのか伝える手段も無く、真っ暗な山に待たせるのか?
スマホの電池は切れかかってる。
ここまでの話にたどり着くまでに、すでにお店の携帯を借りてる。
お店はもうクローズ。
公衆電話は無い。
外は暮れかかっていて、山はもう暗闇だろう・・・
泣きそうな私を心配そうに見てくれていた道の駅のスタッフの方々も、帰り支度をしている。
と、駅長さんと目があった・・・直後。
「車まで友人を迎えにいっていただけませんか?」とお願いしてしまった。
その後、駅長さんの家まで車を取りに行き、「お腹すいただろう?」と駅長さんがくれた五平餅を握りしめて、助手席に座った私。山道で点滅するハザードランプが見えた時には嬉しかったあ。
やっと五平餅に噛り付く気になった私と友人を乗せ、木之本駅まで往復2時間かけて送ってくださった駅長さんは、まさに『地獄に仏』です。
教訓その1、
携帯電話に頼っている日常は、危機予測能力を低下させている。
・・・今時、公衆電話はない。電池が切れれば、身内の電話番号さえわからない。
教訓その2、
JAFもロードサービスも救急隊ではない。契約に従って動くビジネス組織である。
・・・自分がした契約の内容は、有効に使えるよう理解しておかなければならない。(「スペアタイヤを持ってすぐに来て!」と叫んだ私の言動は、相当無茶だったらしい)
教訓その3、
自分は、想定外の事態に直面したとき、思っていたよりずっと動揺し、冷静な判断力を失う人間であった。
教訓その4、
手を差し伸べてくれる人間のやさしさは、なにものにも代え難い。日々それを念頭に他者とのコミュニケーションを図るよう努めるべきである。
翌日、借りた車で再度現場まで行き、積車され京都のなじみのモータースまで運ばれる車を確認。(ちなみに15万円とは、距離にして180キロ程に相当するとあとで聞きました)
もちろん、お礼に伺った道の駅では、よかったよかったと喜んでいただきました。
「これに懲りずにまた来てね!」
「もちろん!五平餅もダチョウコロッケも、買い込んだ野菜もおいしい!万全の準備を整えて、また行きますよ ♪♪♪♪♪」
無事すべて解決して思い返すと、「ほのぼのとした良い思い」が残る一日でした。
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