「パラミタ陶芸大賞」に今回ノミネートされた作家さんの内のひとり、神農巌先生は、以前から舎主が仕事でお世話になっている陶芸作家さんです。
昨年、第58回日本伝統工芸展で日本工芸学会会長賞を受賞、今年春には紫綬褒章を受章されるというご活躍(作品はこちらから)で、その作品を間近で見られる というので、いそいそと舎主の運転手としてついて行きました。
パラミタミュージアム(paramita museum)は、東名阪自動車道の四日市ICから国道477を10分程走ったところにあります。
そのまま真っ直ぐ進むと、湯の山温泉・御在所岳を経て滋賀県の日野に出る幹線道路に面しています。
時間が許せば、この道や、北側を走る八風街道を辿り、古の中山道と東海道を結ぶ道を味わってみたいと思わせる地域です。
大賞展は、どの作家さんの作品も(30歳代の作家の方のものは特に)、どこからこの発想が浮かんでくるのか?と思うユニークさで、その発想を、陶芸と言う技術で立体に作り上げる困難さは、私には想像もつきません。
神農巌先生の作品は、(私の勝手な感じ方ですが)蓮の花(?)が蕾から開花していく様を、時間を追って、いくつもの青磁の器で作り上げていっている‥というようなイメージでした。
花好きの方ならお判りかと‥開花の様の神秘。
ぽこっとした膨らみが、少しずつ柔らかく形を広げていき、花びらの先は触れたら傷つきそう‥それが硬質な青い陶器で出来ている‥ため息が出ます。
今年は個展も予定されているようです。
決まったら、このページでもお知らせしたいと思います。
パラミタミュージアムについて
次に、私の予想を遥かに超えてすばらしかった「パラミタミューシアム」、
「梵語の『はらみた・波羅蜜多=迷いの世界である現実世界の此岸から、悟りの境地である涅槃の彼岸に至ること』に由来」(パラミタミュージアムHPより)した命名だそうです
入り口に掛かっている巨大な陶板は「内田鋼一」作
以前、仕事欄で紹介した、 山本昌男 内田鋼一 合作本 『川』 の表紙にはめ込んだ陶板を作られた方です。
エントランスにはいると、右手に中村晋也氏の「釈迦十大弟子」とミゼレーレの像、左手には鎌倉時代の十一面観音が迎えてくれます。
宗教も時代も超えた祈りの空間、これはちょっと感動的な光景です。
薬師寺に奉納された釈迦十大弟子はこの数倍の大きさだと聞きます。
次は、薬師寺の堂内に立つ「釈迦十大弟子」を見にいかねば!
常設展 池田満寿夫
私の予想を一晩見事に覆したのは、この「般若心経シリーズ」です。
池田満寿夫といえばポップな版画家・小説家・テレビのクイズ番組で‥というイメージでしたが、それだけではなかったのですねえ。
作陶の様子も映像で放映されています。
才能のある人(感覚が優れた人)というのは、何歳になっても、何をさせても、何を使わせても、表現したいものが瞬時に選び取れるのか、と羨望の面持ちで見ました。
庭
もとあった雑木林を利用しているそうです。
すばらしい大木がいくつかあります。
和風の白壁に囲まれ、うっそうと茂った梢に遮られ、住宅地のど真ん中であることを忘れさせてくれます。
雑木林に不釣合いな木や花は一切見当たりません。まず、そこがすばらしい!
広い空間があると、つい何でも植えたくなる気持ちはわかりますが、寺社の庭でも、ここにこれはないだろう、と興ざめさせられることがよくあります。
ところどころに現れる、陶器の作品は、ふしぎと馴染んでいます。元が土だからでしょうか。
この部分だけは、「人間の手を入れました」と主張しています。
このはっきりとした区分けに拍手!という感じです。
奥に和風庭園の石組みが組まれ、瀧が流れています。
手前の自然石ではない、鉄分を含んだ赤が印象的な鉱物、これも見事な庭石の貫禄です。
最後に「菰野」について
「菰野」‥風情のある地名だなあと思い、そこから想像するに、広い原野が広がる田舎を想像していましたが大違い。
現代の菰野は、車が行きかう国道沿いに広がる市街地です。
地名の由来とも言われている「真菰」を食してきました。
道の駅 菰野 ふるさと館にある「マコモの里」でいただいた定食。
『まこコロ丼(マコモ入りコロッケ丼〕』と冷たい『マコモ麺(マコモ葉入)』、冷奴とコーヒーゼリーとマコモ入りのお茶がついて¥750です。
はじめて食べたマコモは、野菜の緑の味がほんのり香り、おいしいものでした。
そのうえ、栄養価たっぷりでリーズナブル!お勧めです。
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