特別展「神仏います近江」と金勝寺

 

滋賀県の保有する重要文化財の数は、東京・京都・奈良に続き全国第4位ということを最近知りました。

 

←金勝山(こんしょうざん・こんぜやま)からの眺め。

右に三上山(三上富士と呼ばれています)

琵琶湖を挟んで比良山地が美しい!

 

「神仏います近江」図録より
「神仏います近江」図録より

 

昨年行われた、「白洲正子 神と仏 自然への祈り」(滋賀県立近大美術館)、「大津 国宝への旅」(大津歴史博物館)に行き、その多彩な仏像と、近くに暮らしながらその存在を見過ごしてきた迂闊さに衝撃をうけたので、今年は、(滋賀県立近代美術館)(大津歴史博物館)(MIHO MUSEUM)の3会場連携で行われる、「神仏います近江」と銘うった特別展をとても楽しみにしていました。

 

考えてみれば、比叡山をはさんで京の都に隣接し、古都奈良県にも近い滋賀県に、見るべきものが多いのは当然ですね。

琵琶湖や比叡山を初めとする美しい山々、多くの神社仏閣やその跡地、多くの文化財を持ちながら、現代ではむしろ、観光地京都・奈良が近いがゆえに、人々の視線は近江に向きにくくなっているのでしょう。

そこに、目を向けさせようと、【滋賀県】がんばっています。

わたし的には、静かに過ごせるので嬉しい場所なのですが‥。

 

2館はすでに行ったので今日は3館目「MIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)」です。ここは、ミュージアム自体が芸術品です。

「深い緑に包まれ、なだらかな坂道を登り、トンネルと橋を渡ってはじめてその姿を表すMIHO MUSEUMは設計者I.M.ペイ氏の桃源郷への思いが深く込められています。」 (「MIHO MUSEUM シャングリラをここに 桃源郷記」より)

 

 

ミュージアムの建物までの道と山は、地面の苔から草木・樹木の一本まで自然に逆らわないよう配慮、デザインされています。

この山の真ん中を無機質に輝くトンネルが貫いていて、送迎用電気自動車(無料)も走っています。

私は美しい山の景色を眺めながら、それと対照的な金属の空間を歩くと、まさに桃源郷に向かうという不思議な感覚に襲われるのが好きなので、必ず歩きます。

(この写真は今春撮ったものです)
(この写真は今春撮ったものです)

出口に近づくと、えっ!お寺の屋根?あれがミュージアム?と思うような建物が見えてきます。

美しいです。

何度歩いても感動します。

 

展覧会は、予想通り近江の仏像・仏画・神像を堪能できるものでした。

たとえば下のの写真の「千手観音」

正面の顔がぺたっとした扁平なのに対し、側面の2つの顔はとても立体的で不思議な感じです。

本堂(仮堂)
本堂(仮堂)

 

次に向かったのは「金勝寺」

金勝山を徒歩で40分程登った中腹にあります。

 

「‥天平5年聖武天皇の勅願により、奈良の都(平城京)の東北鬼門を守る国家鎮護の祈願時として、東大寺の初代別当の良弁僧正が開基し‥」(「金勝寺の由緒」より)という寺で、周りには多くの塔頭の跡がみられ、往時が偲ばれます。

二月堂
二月堂

 

一昨年、金勝山に登った途中で見たときは、門も閉じられ、由緒ある寺だとは思わなかったのですが、昨年、「白洲正子‥」展で出展されていた軍茶利明王像を見て圧倒され、住職様が常駐され公開されるようになったと聞き、興奮してその足で訪れました。

 

身の丈3メートル以上ある主のいない二月堂を見て、ここに立たれている姿を見たい!と今年も訪れ実現。

感動でした。

 

虚空蔵堂
虚空蔵堂

 

金勝寺を拝観し、金勝山に登り、切り立った岩山と眼下に広がる近江の景観を眺めると、山岳仏教と近江の歴史の空気を堪能できること請け合いです。

 

ここには、「木造虚空蔵菩薩半跏像」が安置されています。

右足から下が、隠れて見られないのが残念です。