「三嶺」(1893m)〔徳島側では「みうね」高知側からは「さんれい」と呼ばれるようです。〕はすぐ東側にある「剣山」(1955m)や四国最高峰の石鎚山(1982)に、高さでは及ばないものの、その美しさは四国一と山好きから定評のある山です。
昨年の剣山歩きと那賀町の滝巡りに続き、6月6日その山頂に立つことができました。
同行はいつもの山歩きの友達W子さん。京都から7時間のドライブです。
このあたりは険しい山岳地帯で、深く刻まれたV 字谷が大部分を占めています。祖谷川を本流として高い峰々に源を発する多数の谷や支川が,険しい渓谷や滝をつくっている姿は、秘境と呼ばれるにふさわしいと思います。
山の山頂部は雪深い気候のため低木しか育たず、ミヤマクマザサとコメツツジの大群落に覆われた草原が広がっています。あと一月もすれば小さな白いコメツツジの花に埋め尽くされた山頂が見られるはずです。
そのまわりは巨大な岩塊や屹立する巨岩,切りたった断崖地や岩場など、変化に富む美しさです。
山頂に立つと東方向に池と山小屋,西に剣山への美しい尾根道が延々と続くのが見られ、あそこまで歩いてみたい!と思ってしまいます。
ただ頂上以外、今回使った登りの名頃・下りの菅生、共に全体的に登山標識が少ない山です。下りは地図と磁石を手に、不安を抱えながら歩きました。中高年の登山客の経済効果はばかにしたものではありません。観光協会さん、がんばってください、という感じです。
東祖谷について‥大歩危・小歩危・かずら橋で有名な西祖谷と比べ、交通の便が悪いこの地は、観光客の姿もまばらです。三嶺も剣山に比べると圧倒的に知名度は低い山です。
私たちが泊まった「いやしの温泉郷ホテル三嶺」は三好市の第三セクター運営で、全館木造建築で建てられ「徳島県まちづくり環境大賞 優秀賞」を受賞した、文字通り『癒される』宿ですが、付属の三嶺周遊モノレール(二人乗りで1時間10分かけて標高1380Mに登るモノレールなんてビックリ!です)と併せて、経営が成り立つのかと心配してしまうような利用状況でした。
観光案内に載っている、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けた「落合集落」、「奥祖谷二重かずら橋」などはもちろん、ホテルの周りを歩いてみると、八幡神社の社叢や湿原に生えるノハナショウブ、夕陽に映える、又は雨上がりの蒸気に包まれる山々など、日常的に心打たれる風景にあふれた場所です。是非大事にしていただきたい!!
人がたくさん集まればいいというものではないけれど、人が足を踏み入れなくなったら、そこに暮らし、そこを守る人もいずれはいなくなってしまうでしょう。
コメントをお書きください