2011年  山本昌男 内田鋼一 合作本 『川』    発行:書肆壺中天 

                                      発行者:服部清人
                                 編集:藝文書院 平出秀俊

                                 印刷:サンエムカラー

                                                        印刷設計:三浦啓伯

                                 協力:稲垣明彦

                                

 

世界的に評価の高い写真家の山本昌男先生の作品集 『川』 の印刷・造本を担当させていただいた。

 

山本先生は、少し地色のついた印画紙に焼き付けられた銀塩写真(ゼラチン・シルバープリント)による、モノクロ表現を基本とされている。

銀塩の青みがかった金属質の光沢と、うすいベージュ味の地色とが、さまざまなバランスで融けあって、本当に美しい。

静謐で豊かな美しさだと思う。

 

印刷では、そんな先生の表現を、どうすればインクを使って再現できるかを考えて組み立てた。

 

尚、このページの写真は、全て山本昌男先生自ら撮影された物をお借りして掲載しました。

普及版
普及版

 

用紙は、風合い豊かな非塗工マットグロス紙を使い、印画紙の照りを再現するのに、カラー4色インキの他にグロスニスを使う。

こうした組み立ては、山本昌男先生、奥様、そして版元の壷中天の服部さん、編集の平出さん(藝文書院)との打ち合わせのなかから、自然に決まってきた。

普及版
普及版

造本もまた手の込んだものになった。

通常版は、枚葉の印刷作品を箱帙(はこちつ)に納め、陶芸家の内田鋼一先生の陶板を表紙にはめ込むというもの。

特装版は、仕上げた印刷作品を一枚ずつ台紙に貼り付けたものを、内帙に納め、内田鋼一先生の四角い扁壷型のケースに納めるというもの。その外には保護も兼ねた四方帙(しほうちつ)をつけた。

内田鋼一陶板扁壷型ケース
内田鋼一陶板扁壷型ケース

こうした造本は、京都でしか出来ない業だ。

京都には、和本の伝統を受け継いでいる優れた職人がいる。

彼らの技術なしには、こうした造本はできない。

そこには、面々と受け継がれ、蓄積されてきたノウハウがつまっている。

この点も、是非手にとってみていただきたいと思う。

 

和本の技術を使った造本の写真は㈱サンエムカラーのホームページで見ることができます。 

〔普及版〕
FMスクリーン版作品 30点
A4サイズ(縦210㎜ ×横 297㎜)
内田鋼一陶板はめ込みケース入り
200部
販売価格 30,000円

特装版
特装版

〔特装版〕
オリジナルプリント 1点+FMスクリーン版作品30点
全点台紙貼りの大判(台紙サイズ:縦 320㎜×横295㎜)
内田鋼一陶板扁壷型ケース入り
佐藤友泰作の手漉和紙帯付
限定30部
販売価格 300,000円