2012年  山本治之『信越秋山郷』 

 

               発行:光村推古書院

            印刷:サンエムカラー

                       印刷設計:三浦啓伯(玄元舎)

「秋山紀行・清水川原村之図と信越堺秋山之図」(「信越秋山郷」より)
「秋山紀行・清水川原村之図と信越堺秋山之図」(「信越秋山郷」より)

 

【「桃源を尋ねる心地して、秋山に尋ね入るぬ」‥‥江戸時代後期、越後塩沢の文人鈴木牧之が著した『秋山紀行』の一節です‥‥】

 

という見返しの文章から始まる本書は、写真家の山本治之氏が現地に2年間暮らし、日本原風景を写し取った写真集です。


 

有数の豪雪地帯だけあって、雪に始まり、やはり、雪に終る写真集です。

 

その間に見せる雪の様々な表情‥厳つい雪山や雪に閉じ込められる集落、雪の中から芽吹く緑や氷が織り成す結晶の藝術‥息をのむ美しさです。


 

そして、雪と雪の間を謳歌するかのように写し出される季節‥

水と光、樹木の緑や山野草、時に現れる動物や昆虫‥見ていて、切ないような懐かしいような心持に襲われます。

 

「日本の原風景とも呼べる景観は、現代の私たちにとっての桃源郷といえるでしょう」

(「信越秋山郷」より)

氏の言葉はその写真とともに、私たちを桃源郷に導いてくれるようです。