依頼の電話をくださったのは、京都在住の姪のＳさん。

お歳を召され、若い時のように出歩くことが難しくなった Ｉ 氏を元気づけたいと、撮りだめした写真でカレンダーを作ることを提案されたところ、とても喜ばれたとのこと。

部数は少数でも、きちんとしたものを作りたい、とのご依頼でした。

凛とした京都が写し出された、素敵な写真です。

特に光悦寺の写真はすばらしく、右の光悦垣のカーブと左の真っ赤な楓の対比が絶妙だと思います。

お預かりしたプリント写真は、古いものは３０年以上の時間を経て退色していましたが、何とか元の色に戻すよう心掛けて出来上がったのがこのカレンダーです。 

旅を、京都を愛した Ｉ 氏の写真を、このような形で蘇らせるお手伝いができて、とても嬉しく思っています。

Ｉ　氏は現在、新たにデジタルカメラを購入し、来年は新規に撮影したものも加えた東京のカレンダーを作る予定で、その後は写真集も‥と、また写真を撮り始められたとの事です。

次は、どんな写真に出会えるのか、とても楽しみです。

私共での制作は、少数であれば余計に、一部あたりの制作費は少し割高なものになります。

フィルムメーカーなどで作ればもうすこし安価に作ることもできます。

それでも I 氏の写真にこだわり、「よいものを」とおっしゃられたＳさんのお気持ちは、もの作りに関わる人間としては、とても励まされて嬉しいことでした。